「用がないなら切るよ。」
"まってまって!"
「…………なに」
"もう少しだけ、凛の声聞いてたい"
「私は聞きたくない。」
"そう言うと思った~"
電話の向こうでケラケラと笑う声が聞こえる。
何がおかしい。
"5分だけでいいから、今だけ凛の時間俺にちょーだい?"
「………………」
まあ5分だけなら……
「………分かった。」
なんて、簡単に承諾してしまった。
"やった。凛は優しいね~
あ、そうそう。
家までの帰り方分からないよね?
俺今日ちょっとだけ遅くなると思うから、
仕事終わったら近くのカフェで待っといて。"
「それなら今日は自分の家にか…」
"勝手に帰るのは無しね。"
途中までしか言わせてくれなかった。
私の意見も聞けよ。
「遅くなるんでしょ?次の日も朝から仕事だから早く帰って寝たいし。
だから今日は自分の家にか…」
" 凛。 話、聞いてた? "
また、同じところで発言を阻止される。
「……聞いてたけど」
"じゃあ分かるよね?
あの家に帰るのは無し。
凛の住む家はもーそこじゃないでしょ?"
「………………」
コイツ、前から思ってたけど結構強引だな…
言葉は怒っているような感じなのに
口調は明るいから
………余計に怖い。