「でも意外っすね~」





13時になって、私と慎二くんは約束通りに早上がりをした。





「……なにが?」


「安藤さん、いつもなら最後までいるって言うのに早上がりしてるところっすよ。なんか用事でもあるんすか?」


「うん、まあちょっとね」


「もしかして、」





グイッと顔を近づけてきた。



近い近い。





「セフレさんに会うんすか!?」

「…………………」





ああ…そうだった。


コイツは未だ私にセフレがいると思っているんだった。



その話をしてくる度にコイツは目をキラキラと輝かせるし。いい加減、執拗い。





「だから違うって言ってるでしょ……セフレじゃなくて、」





途端。



……この先の言葉が出ない。





「じゃなくて?」

「…………………」





あれ、なんて……言えばいいんだろう。



私と春の関係って?



一緒に住んでて、キスもして、
昨日なんて同じベッドで眠った。




春は私のことを好きだと言って…


私も、春が好き。



好きだけど、それはまだ伝えてない。


伝えていないのだから、
私の気持ちなんて春は知らない。





「………とりあえず、セフレじゃないから」

「えー?じゃあなんすか~?」





私も聞きたいぐらいだ。


私と春はどういう関係だって。





(春は、なんて答えるんだろう。)





好きだと伝えたら、この関係に名前はつくのだろうか。