お風呂から上がってからすぐに夕食を作り、いつも通り春と向かい合わせで食事をする。



その間も脳内では『癒す』の文字で張り巡らされる私。





(癒す、癒す、癒す、癒す───…)





ジッと目の前の彼を見つめては念仏のように唱え、考える。




あぁ……難しい。

癒してって言われても、まず癒すって一体何。





「凛。」





不意に呼ばれた名前。



春はその事にも視線にも気づいていたのか、





「そんなに深く考えなくていいんだよ」


「………え?」






「そばにいてくれるだけでいいんだ。



だから、

今日はずっとそばにいて。」






癒すって一体何をしたらいいんだ、と。


ずっと悩んでいた私に春が答えをくれた。





呆気に取られた。


意外とそんな事でいいのかと。





(深く考えるまでもなかったな…)





そんな事、今までと変わりない気もするけど、それでいいんだ?




まあ春がそう言うのだから

それでいいのだろう。





「……分かった。」





特に変わりないのだから、と。



一つ返事で頷いた。