酔いしれる情緒





(どこか行ってる?)





なら連絡くらい入れてくれても…





「あっ………」





そういえば、携帯、開けてない。




店を出た時からずっと慌てて帰ってきたものだから、携帯は一度も開けていない。



カバンから携帯を取り出し、開く。



そこには春から連絡が入っていて





『ごめん。今日、話聞けない。』

『夜ご飯俺の分いらないからね。』





と、2件だけ。





(なんだー……)





急いで帰ってこなくて良かったじゃん…




はあー…と。

力つきたのか、その場に崩れ落ちた。




……久々に全力で走ったかも。





(夜ご飯いらない…か。)





どこか遊びに行ってるのかな。






……1人で?


ううん。たぶん、違う。


きっと、誰かとだ。



相手は誰だろう……



芸能人なのだから相手もきっと芸能人?


男の人?それとも、女の人?



なんでこんなにも気になるんだろうか。




春が今何をしているのか、すごく気になる。



こんな気持ちになってしまうのは………彼に惹かれているから?





「…………………」





何をしているのか聞いてみようか。

そう思ったものの、聞いてどうしたいんだと自分に言い聞かせた。



付き合っているわけでもないのに、相手のしていることを把握したいなんておかしいよね。





開いた画面を再び閉じる。



暗くなった画面に薄らと自分の顔が映った。





浮かない顔



今の私はそんな顔をしていた。