少ししてCMから番組へ切り替わると
『本日は桜田紬さんと一ノ瀬櫂さんに来ていただきましたー!』
「!!」
そんな声が聞こえて
私は急ぐようにテレビの前へ。
『よろしくお願いしま~す』
ふわふわヘアーで
私とは正反対な
ザ・女の子って感じの子が映り
(この子が……紬ちゃんか)
この間、慎二くんが言っていた子だ。
初めて見たその顔。……確かに可愛い。
そして、もう1人。
『よろしくお願いします。』
テレビに映るその人を見て、手に持つコップを落としそうになった。
いや、少しして、落としてしまった。
運良く割れなかったけれど水は溢れてしまう。
「……は、る…?」
テレビの奥に映る彼は爽やかな笑みを浮かべていて、その顔が女を虜にさせる顔なのだと知る。
ニコリと笑えば、その番組の共演者が『カッコいいですね〜』なんて言うくらいだ。
『来月に映画が公開されるみたいですね?』
その質問に答えているのは一ノ瀬櫂で
『はい。今日はその宣伝に来ました。』
『いくらでもしちゃって下さい!』
その言葉に共演者の笑い声。
宣伝、とかよりも
私はただ、テレビに映る春から目を離せなくて
「春………」
何度もその名を呼んだ。
聞こえるはずがないのに。
この人が気になって仕方がない。
私の本能はコレが春だって言ってる。