「………………」
毛布を頭の上まで被って中に潜り込む。
寒いわけじゃない、寧ろ暑いくらいだ。
春のせいで身体中が熱を帯びている。
ドキドキと鳴るその音が、今の私にとっては無性に恥ずかしさを募らせて
(早く、鳴り止んで……)
………眠れない。
春の行動一つ一つに毎度暴れる鼓動。
こういうことに慣れていない、ということもあるだろうけど
きっと、そんなことよりも、
(……惹かれてるんだ)
こんなにも胸が鳴るのは
私が春に惹かれているからだ。
否定したい気持ちもあるけれど、否定できるような証拠がない。
ただ、惹かれている、という証拠だけはある。
それは恋をしたことのない私でも分かるようなこと。
今こうやって鳴り止まない鼓動がそうだと確信させるのだ。
(こんなの、私らしくないんだってば…)
毛布をギュッと掴む。
恋をしている私、ということが恥ずかしくて仕方がない。
相手は
もしかしたら
棲む世界の違う人、かもしれないのに。
初恋にして相手が芸能人かもしれないなんて……ハードルが高い気がする。