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「ヤッホー」
「……………」
あれから数日が経った頃
またしてもあの男はひょっこりと現れた。
品出しをしていた私に「手伝おうか?」なんて言ってくる。
「いいです。仕事なんで。」
「そう言うと思った~」
「(じゃあ言うなよ。)」
あーコイツなんて無視無視。
仕事に集中してよっと。
段ボールの中から本を出して棚に並べていく。
ジーっと視線を感じるけれど、無視無視。
「安藤さーん。」
店主の声にその男はピクリと反応した。
「あ、そういえば。名前なんて言うの?」
「………………」
コイツ、名前も知らない相手にプロポーズしたのか。
ほんとヤバくない?
まじで頭ぶっ飛んでるよね?
「安藤って上の名前だよね?下は?」
「はーい、なんですか~」
無視して店主の元へと向かう。
「コレとコレも出しておいてくれる?」
「はーい」
渡された本達を抱えて、さっきとは違う場所へと持って行く。
「ねね、名前なんて言うの?」
だけど、すぐにその場にこの男はやってきた。



