ホテルに着く頃には、ハラハラと雪が降り始めていた。
青年が適当に選んだ部屋に入り、やっと寒さのしのげる寝床にありつけたのに……。
生死の狭間から脱出したというのに……!
「(や、やっぱり来るんじゃなかった……)」
「体冷えたでしょ?お湯溜めておいたからお風呂入れば?」
「お……お風呂?!」
「だから何もしないって」
ダブルベッドが中心に置かれたその部屋は、青年がしないと言っていたコトを嫌でも想像させる。
私が扉の前で焦った顔をして立ち尽くしていると、そんなこと御構い無しにスタスタと歩いて部屋の奥に行ってしまった青年が、風呂場の脱衣所から顔を出した。



