愛しのキャットボーイ〜野良猫少年拾いました〜




 仕事は定時に終わった。
 さくらは恋人と会う約束があるらしく、更衣室でいつもよりも念入りに化粧を直し、早足で退社していった。



「お疲れ様でした」
「お疲れ様〜」



 談笑をしていた先輩社員に挨拶をし、地上に降りるエレベーターに乗り込む。



「(帰ったら、オムライスでも作ってあげよう。美味しいご飯食べてゆっくり時間を過ごせば、きっと私の動揺した様子なんて忘れてくれるはず)」



 エレベーターが地上に着き、ビルから出る。
 顔を上げると、ビルの前の歩道のガードレールに長身の男が寄りかかっていた。


 あの月明かりが透けるような銀髪……間違いない。
 歩み寄ると、ユキはいつも見せる柔らかな笑顔をではなく、ジッと私の目を真っ直ぐに見つめた。