「ん……」 深い眠りから覚める。霞んだ目で時計を見ると、深夜の2時だった。 隣にある温もりに気が付き、起こさないようにギュッと抱き寄せる。 「はるか……」 まさか、あの出来事から春香に拾われるなんて思ってもみなかった。 あの日、春香に声を掛けて本当によかった。 この関係に名前を付けることはできない。 でも僕にとって、とても大切なモノ。 ――――だけど、僕はこのとき春香の時折見せる不安げな表情、その原因の心の傷が深いものだとは、気付けてはいなかった。 ***