愛しのキャットボーイ〜野良猫少年拾いました〜




「今日雪降るよ。早く帰らなきゃ」
「……終電、乗り過ごしちゃって。スマホもないし……お金もなくて。……あなたはこんな時間にこんなところで何をしてるんですか?」
「僕は野暮用を済ませて、寝床を探してたところ」
「寝床……? あ、あの、この辺ってどれくらい歩けばコンビニがありますか?」
「歩いて一時間くらいかな……たどり着くまで街灯も少ないし、女の人一人では危ないよ」
「やっぱり……」
「スマホ、貸してあげたいけど……僕のも実はさっき充電切れちゃったんだ」
「……そ、そうですか」
「でもお姉さん、このままだとここで野宿コースだよね。下手したら凍死しちゃうかもしれないし」



 青年は、困ったように唇を尖らせ、寒いのかモッズコートのフードを被る。
 最悪だ。人に会えたのはいいけど困らせちゃってる。
 お金を貸してくださいなんて言いにくいし……どうしたら……。


 すると、考えていたことが伝わってしまったのか、青年は私に向かって一万円札を差し出した。
 そして、冒頭の青年の発言に戻ることになる。