「あのブラウス、もう売ってないものなの」 「……ごめん」 「でも、私も大人気なかった。ごめんなさい、突然出て行ったりして」 「……」 真っ直ぐに目を見て謝ると、ユキは目を大きく見開き、傘を閉じて穴の中にグイグイと入ってくる。 「ちょっと、狭いわよユキ」 「よかった……捨てられちゃうかと思った」 「そんなに簡単に捨てないから」 「……でもさ、春香」 私の肩にもたれ掛かり、マイペースに話し出すユキ。 頰にさらりとした髪が当たってくすぐったい。