「ここにいたんだ。よかった見つかって」 「……結局出てきちゃったの?」 「うん。僕はげんこつされても別にいいよ。それより春香がいなくなる方が嫌」 穴の入り口から、こちらを覗き込むようにしゃがみ込んだ傘をさしたユキ。 そうか、この子はこういう子だ。 「……僕のこと、もう嫌い?」 唇を真っ直ぐ横にキュッと結び、寂しそうに私の言葉を待っている。