「(げんこつなんて、子供じみた捨て台詞を吐いちゃったな……)」
真冬の冷たい風に吹き付けられ、パーカーを一枚羽織っただけで出てきてしまったことを後悔する。
だけど戻る気にはなれなくて、トボトボ寂しい住宅街を進む。
しばらく歩き、アパートから少し離れた場所にある小さな公園にたどり着いた。
空は曇っているし、寒さのせいか子供の姿はない。ベンチに腰を下ろし、空を見上げる。
「あー、もう。私ったら大人気ない……」
ユキは純粋に私の手伝いをしてくれようとしたのに。
ブラウスのことがショックで、怒ってしまった。シミ抜きしてもあれはきっとだめだろうな……。



