愛しのキャットボーイ〜野良猫少年拾いました〜




 ユキは目を丸くし、声を小さくして謝る。
だけど、これは……。
 頭にカーッと血が上っていく。



「ユキ」
「はい」
「私は今日ユキのこの家での役割を考えるって言いました」
「はい」
「できないことやはじめてのことに挑戦するのはいい。でも、聞くことも大切なこと」
「……はい。ごめんなさい」



 首を下げシュンとするユキ。でも……。
 

 脱衣所から出て、黙って玄関に向かって歩いていく私を、ユキが追いかける。
 玄関の扉を開き、ギッときつい視線をユキに向けた。



「春香、どこいくの」
「ついてきたらげんこつだからね!」
「?!」



 寝起きのスッピンでアパートを飛び出す。