「ユキ」
「ん?なに?」
「ここで一緒に住むのに、約束があるの」
「約束?」
不思議そうに言葉を発するユキに、話しを続ける。
「ここに住む以上、他の寝床を探しに行かないこと」
「……はい」
「スマホ持ってるでしょ?ユキ」
「うん。一応」
「どこかに出掛けて、遅くなるときは連絡すること」
「分かった」
「あと、何かあったら相談すること」
「ふふっ、多いね」
ユキは何故か嬉しそうに呟くと、私を抱きしめる腕の力を少し強くした。
だけど、嫌じゃない。少しずつ眠気が思考を支配していく中、私は言葉を発した。
「家族のことも、気が向いたら、話してね……」
ユキがいつか家に帰れるよう、私は大人の立場として手伝わなくてはならない。
そんな意味を込めた言葉に、ユキが返事をすることはなかった。
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