私の言葉を聞いたユキは目を丸くする。
「驚いた……」
「なによ」
「春香は、僕のことなんてとっくに忘れてると思ってたから」
「あれからたった数日よ?忘れるわけないでしょ」
「……ふふ、そっか」
ユキは首を傾け、嬉しそうにふわりと柔らかな笑みを浮かべた。
「僕だって、ずっと覚えてたよ。あんなにお節介焼かれて優しくされたら、忘れられない」
「だったら、なんで無視したの?」
「春香と僕の住む世界は違うでしょ。春香にとっては、早く忘れたい一晩だっただろうなって」
「……そんなことないわよ」
ユキの不器用な優しさが胸に染みて、思わず目をそらす。
地面はすっかり薄く積もった雪で真っ白になっていた。本格的に冷え込んできた気もする。



