─────ばたん。


 扉が閉まる。一人分の気配が消えた部屋はとても寂しく感じて、その場に座り込みそうになる。
 だけど、すうっと息を大きく吸って、涙が溢れそうになった目を両手で拭う。


 ユキと再び会えるのがいつになるのかは分からない。
 でも、ユキのくれた約束を信じて、一歩一歩進んでく、生きていく。


 窓の外から射す日差しを見つめると、季節はもうすぐ、凍えてしまうような寒い冬を越え、暖かな春になる。



 お節介で、正義感が強くて、そのせいで生きにくかった。


 大好きな恋人に振られて、もう一人で生きていこうとさえ思っていた。


 ────だけどあの日、雪の降る駅前で私が拾った野良猫が、幸せの意味を教えてくれた。



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