「……この先、どんなに辛いことがあったとしても、春香のことを思い出すよ。ここで、春香が待ってるって」 「……」 「だからお願い、それまで待ってて」 ユキがドアノブを掴む。 扉がゆっくりと開く。私は最後にその背に言葉を投げた。 「待ってるから」 「……」 「大好きよ、ユキ」 「……僕も」 「────ずっと私は、ここにいるから!」 扉が閉まる寸前、ユキはこちらを振り返った。 暖かな日差しに包まれ、ユキは目を赤くして笑っていた。