角度を何度も変え、離れてはまたくっ付く熱い唇に翻弄される。最後にリップ音を残し、それは離れていった。 思わず涙も引っ込んでしまった。 ユキは唇を離すと、余裕のなさげな表情で口角を上げる。 「……キスしたら、余計に離れ難くなるからしなかったけど、無理だったね」 「ユキ……」 「僕が大人になって、迎えにきたら……もう一人になんてしてあげられないからね」 「……」 「予約、したから」 ユキは声を詰まらせながら私の両肩を押し、身体を離す。 そして、靴を履いた。