私は、ユキのモッズコートの背中をギュウッと掴む。 それと同時に、ずっと言葉にできなかった感情が、堰を切ったように溢れ出した。 「さ、みしいっ」 「うん」 「ほんとうは、いかないで、ほしいっ……」 「うん」 「────ひとりに、しないでっ……」 ドンと構えていろと言われたけど、本当は連絡を絶ってしまってユキが戻ってこないのではないかと不安だった。 一人になってしまうのではないかと怖かった。