愛しのキャットボーイ〜野良猫少年拾いました〜




 私はユキの両頬から手を離し、コートを受け取る。
 このままでは風邪を引いてしまう。早くご飯にしてあげないと。……いやその前にお風呂か。
 とりあえずユキの手を引き、暖房の効いたダイニングに行こうとしたけど、それは叶わなかった。



「ユキ?どうし……」



 その場から動こうとしないユキに痺れを切らし振り返る。
 でも、ユキの真剣な視線が私を捉えていて、繋ごうとした言葉を飲み込む。


 ユキは何かを決意するように息を深く吸い、声を発した。



「僕、ここを出たら社会人になるまで、春香とは連絡を取らない」



 シンと部屋が静まり返る。ユキが何を言っているのか、私は一瞬理解ができなかった。