「ユキ!」 玄関には鼻先を真っ赤にしたユキが立っていた。 迷わずバタバタと駆け寄り、すっかり冷たくなった両頬に手を添える。 するとユキは嬉しそうに微笑み、私の添えた手の上からすっかり冷えた手を重ねた。 「ちゃんと、話せた?」 「うん。思ってたこと、全部言った」 「そう、偉いわね」 「ははっ、偉いって……」 「……偉いわよ」 ユキは照れ臭そうに微笑む。 だって、ずっと言えずにすれ違って逃げていたのに、ちゃんと向き合えた。偉い以外の何があるのか。