「──駅──駅です。お降りの方は……」 目当ての駅で電車から降りる。降りたのは私ただ一人だった。 時刻は20時を回っている。外はもう暗く、気温も低くて体の芯から凍りそうだ。 ゆっくりとその無人駅の改札から出る。 「っ」 そして、見つけた。 古びたベンチに深く座る、俯いてスマホを握りしめた銀髪にモッズコート姿を見つけて、思わず息を呑む。