全部が全部、もう遅いかもしれない。それくらい私は逃げすぎた。 「――――駅、お降り方は……」 けど、あの子はずっと一人、傷付いてきたんだ。 傷つく度に、それを受け入れるように薄い笑みを浮かべてきたんだろう。 そして、野良猫のように転々と生きる場所を探して……。 ────また、今回もそのつもりだとしたら? プシューーッ、電車の扉が開き、冷えた空気が車内に入ってくる。 数人が駅のホームへ降り、数人が乗り込む。