愛しのキャットボーイ〜野良猫少年拾いました〜




「ごめん。もうこれ以上……自分の気持ちに嘘なんてつけない」



 部屋に響いたユキの声は微かに震えていた。
 カチ、カチ、ゆっくりと進む壁掛け時計の秒針と、時折洗い桶に落ちる水道の雫の音、私達二人分のいつもより異常に速い息遣い。
 それだけが張り詰めた部屋の中に響いている。



「あの人が、僕の知らない春香を知ってるのが……嫌だった」
「………っ」
「春香が、線引きして僕と一緒に居ることも分かってる、そうしなきゃ一緒に居られないことも……分かってる」
「……なら、なんでっ」
「ずっとこのままなんて無理だって、春香だって分かってるでしょ」



 両肩を掴まれ、向かい合い視線を合わせられる。
 その目は決意を固めたような、強い目だった。そうされたことで、自分がいかに逃げていたかを思い知らされる。