愛しのキャットボーイ〜野良猫少年拾いました〜





「ユキ、ちょっと……買い物っ」
「帰ろう」
「……一回止まって!ユキってば!」


 進む先が自宅のアパートだと分かり、住宅街の古びた公園の前で、私はユキを引き止めようと立ち止まる。



「買い物して帰らないと、夕飯ないわよ」
「……春香、帰りたい」
「ねぇ、ユキ」
「────春香、お願いだから」



 思わず息を飲む。
 振り返った時に発されたユキの声は冷静で真っ直ぐ、なのに表情は焦燥感に駆られていたから。


 見たことのない、ユキの表情だった。