起きていたんだ。
どこまで聞かれてしまった? あんな本音、聞かれていたら洒落にならない。
眠っていると思って油断しきっていた。
恐ろしい程静まり返った部屋の中、聞こえるのは私の焦りきった浅い呼吸音だけ。
「ねぇ、ユキ……!」
ユキの表情からは、今この子が何を思っているのか感じ取ることはできない。
焦ってもう一度名前を呼んだのと同時にユキが目を見開く、そして肩にユキの額が押し付けられた。
「……ごめん、寝ぼけてた」
「え?」
「春香に撫でられる夢見ちゃってさ。今退くから」
私に、撫でられる夢?
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