────春香。 家で待っている、ユキの顔と声が頭を過ぎった。 「ごめん!本当にもう帰らないと!」 「……あぁ」 「じゃあ、元気でね!」 今度こそ秀人に背を向け、構内の人混みをかき分けホームに急ぐ。 秀人がそんな私の背を、見えなくなるまで眺めていたのは、その時の私は知る由もなかった。 ***