「転勤先ではどう?もう慣れた?」 「ああ、不自由はしてない」 「そう、それなら良かったわね。それじゃあ、私そろそろ行くから」 本格的にもう帰らないと、ユキが心配してしまうかもしれない。 それに、何だか無性にユキの顔が見たい。さっきまでは帰ることを躊躇っていたのに。 「じゃあね」 もう会うこともないだろう。 悲しさは感じなかった。挨拶程度に笑みを向けると、秀人は元から硬い表情をさらに固くさせた。 早くホームに行かなくては、足を進めようとしたその時。