「……今日の晩御飯は唐揚げにしてあげよう。早く帰ってあげなくちゃ」 次の電車は何分後だろう。 立ち上がり、電光掲示板を見るため視線を上げる。そしてそこで、思考が一気に固まった。 たくさんの人が歩いている駅構内、なのに目の前を通り過ぎる『彼』と視線が絡んだ瞬間、全てが吹き飛ぶ。 「────春香」 「秀人? なんで……」 半年前、何の前触れもなく私を振り、転勤で遠い土地に行ったはずの元恋人がそこに居た。 明らかに動揺を隠しきれていない私を余所に、彼は眉一つ動かさずに私の問いに答えた。