ユキの歩くペースは、いつもの私の歩幅に合わせるようなものではなく、ましてはこちらの様子を気にする素振りもない。
人混みの隙間を縫うように、どんどん先に進んでいってしまう。
そのスピードについて行くのが辛くて、私はユキの着ているコートの裾をガシッと掴んだ。
すると、ユキはピタリと歩みを止める。
「ユキ、歩くの速すぎ。追いつけないわよ」
「……」
「こっち」
通りのど真ん中で立ち止まるのは迷惑だから、裾を引っ張って近くにあった路地に入り向かい合って壁に寄りかかる。
街の灯りが路地に伸びて、私達の顔を照らした。
黙って視線を落としている無表情のユキだけど、怒っているのが分かる。
それを隠そうとしていない。でも、私も同じだ。



