「なに時間気にしてるの?」
「え、それは」
「彼氏でもできたー?」
「それはない」
「即答だね」
「……でも、早めに帰ってあげないと寂しがる子がいるから」
「あぁ、最近飼い始めたペットね!」
「……ペット」
さくらの声に言葉が詰まった。手元にあったお冷の氷が、カランと音を鳴らす。
「(ペットから家族に、弟みたいな存在に)」
私の心にいとも容易く踏み込み、そこにあった傷を過去のものだと認識させてくれたユキ。
正義感のある私が、私でいることを一番に認めてくれた。自分を許せなかった私の代わりに、許してくれた。



