愛しのキャットボーイ〜野良猫少年拾いました〜




「(そっか、なんでそんなこと分からなかったんだろう)」



 お父さんが死んでしまって、僕がその代わりになろうとしていた。
 そんなことできるはずがないのに。お父さんも、そんなことを望んでいるはずないのに。


 自分の生きる意味をそこに見出してしまった。


 ────本当は、お母さんに笑って欲しかったんだ。
 本当は再婚なんてして欲しくなかった、お父さんを忘れて欲しくなかった。
 新しいお父さんなんて、いらなかった。


 頑張っていたんだ。
 自分で言うのも変な話だけど、ずっとずっと、うまく呼吸ができないくらい苦しくてたまらなかった。


 出口のないトンネルを手探りで進むように、ゴールがどこかなんて分からなくて、自分の気持ちなんて後回しで、そうしているうちにいつの間にか心は麻痺していて……。