「(同情してるのかな?可哀想な子って)」 抱きしめる腕を緩め、春香の顔を覗き込む。 部屋の暗さに慣れてしまった僕の目に映ったものは……。 「春香、顔こわっ」 「…………待ってユキ、今落ち着くから。落ち着かなきゃ怒りで頭がおかしくなりそう」 春香は顔を歪め、怒りを抑えるように歯を食いしばっていた。 この反応は予想外すぎる……。 驚いて呆気にとられる僕をよそに、春香はベッドから勢いよく起き上がった。 ベッドのスプリングがギシっと軋む。慌てて僕も起き上がった。