「……さむい」 頭を搔きむしり、いきなり叩きつけられた真実に呆然としていると、身体がぶるりと震えた。 そういえば、僕はお父さんが死んでしまったあの時、お母さんに抱きしめられて以来、誰かに抱きしめてもらったことがない。 気付かないふりをしていた、見ないふりをしていた。 お母さんが僕に触れようとしないことを、いつの間にか心が離れて、寄り添っていないことを。