だけど、何故かお母さんと僕の心の距離は離れていくように感じる。
表面上は普通なのに、どこか素っ気ない。
だけど僕はそれに気が付かないふりをして、高校に入学しても只々勉強に励んでいた。
たくさん勉強して、お父さんとの約束通りお母さんのことを支えられる大人になる。それだけが全て。
「……似てる」
そして高校生にもなると、顔付きがどんどん変わってくる。
僕の顔は、表情は、お母さんよりも死んだお父さんそっくりに成長していった。
お風呂に入り、脱衣所で着替えながら自分の顔を眺める。
その日課を終え、部屋に戻ろうと夜の暗い廊下を進み、お母さん達の寝室の前を通りかかった時のことだった。



