愛しのキャットボーイ〜野良猫少年拾いました〜




 お父さんはとても優しい人だったことを覚えている。
 仕事が休みの日は必ず遊んでくれたし、お母さんに怒られた僕を、優しく諭してくれた。たくさん抱きしめてくれた。
 そんな優しい、外国人のお父さんの血が入っていることが自慢でもあった。


「おとうさん、おとうさん」


 もう会えない。
 もうあの大きな手で頭を撫でてもらえない。一緒にお風呂に入れない。もう外で遊んでくれないの? 
 サッカー教えてくれるって約束したのに、公園行こうって約束、してたのに。


 まだ幼かった心がちぎれてしまいそうだった。
 泣きたいのに、まだ現実を受け止めきれずに泣けない。ただただ苦しかった。


 そこからの記憶は途切れ途切れ、加害者を責め立て怒鳴り散らす親戚や、葬式、火葬され骨になったお父さん。


「ユキ……大丈夫よ。お母さんがいるからね」


 ────そして僕を抱きしめるお母さん。
 お父さんが死んで以来小さくなってしまった母親の背中に腕を回し、ずっと前の母の日にお父さんから言われた言葉を思い出した。