「僕の母親を見て、僕とは違って驚いたでしょ?」
「え……でも、それはお父さんの方が」
「僕の『本当の』父親は、もう居ないんだ」
ユキの腕が小さく震えた気がした。私のひゅっと息を呑む音が寝室に響く。
居ない? どういうこと?
そう問いたくても、上手い言葉が浮かんでこない。ユキは辛いであろう真実をゆっくりと繰り返し呟く。
「僕が、小学生くらいの時に亡くなった。僕はお父さんの血が濃いんだ」
「……」
「お母さんはお父さんがいなくなった後、ずっと泣いてて……まだ幼かった僕はお母さんを支えよう、お母さんのことは僕は守らなくちゃいけない。そう思ってた」
「……ユキ、偉かったのね」
「偉くないよ。でもさ、それが無駄なお節介だったら?」
「無駄?」
無駄なわけがない。
親一人子一人、お互いに支え合うものでしょ? でも、ユキ達は違ったの……?



