愛しのキャットボーイ〜野良猫少年拾いました〜




「僕が間違っているのはわかってるよ。普通は家に帰るのが当たり前なんだ、分かってる。どこに行っても誰といても、最終的にそう言われてきた」
「あっ……」
「だから、あんな風に僕の手を引いてくれた春香が……家に置いてくれた春香が、特別なんじゃないかって……勝手に思ってた」
「ユキ、待って。私の話……」
「春香はいい人だもんね。正義感があって……そんな春香が、間違ったことを言うはずがない」



 私の言葉になんて聞く耳を持たず、ユキが自分を納得させるように言葉を発する度、心の距離が離れていくような気がした。


 モッズコートの上から触れる私の手を、ユキが掴む。
 その指先はあまりに冷えていて、私は胸に浮かび上がる不安を打ち消すことができず、自然と口からそれはこぼれ落ちてしまう。



「いなく、なるつもり?」



 ユキはまるで出会ったときのような、大人びた曖昧な笑みを浮かべ、私の問いには答えなかった。