自分のいない間に私がお母さんと接触して驚いたにしても、いくらなんでもあの態度はどうかと思う。
いくら家出しているにしても……。
家出しているユキを放っておくような母親だとしても、もっときちんと話さなくては。
地面を踏みしめると、薄く積った雪がキュッと鳴った。
寒い、本来ならアパートに帰ってから聞いても良いはずなのに。何故か今、正常にその判断ができなかった。
ユキに一歩近づき、モッズコートの厚い生地の上から胸あたりに触れる。
「……ユキ、なんであんな態度とったの?」
「あの人と話すことなんてないから」
「あるでしょ。あなたが私と住んでることは、本当なら親御さんに了解を得て……というより」
「――――帰ったほうが良いって?」
視界の隅で、さらりと銀が揺れた。
さっきまでは私を通して、どこか遠くを見ているようだったエメラルドグリーンの瞳は、確かに私を見据えている。



