「あの……すみません、私やっぱり……」
「…………」
「寝ちゃってる……?」
近付いて話し掛けるが、返事はない。その様子を見て、拍子抜けした。
添い寝をする約束でここまで来たけど、本人が寝てしまったのなら仕方がない。幸いお金はあの場では頑なに受け取らなかったから、書き置きだけして出ていけば……。
青年に背を向けた、その時。
「ダメだよ」
「へっ」
突然手首を掴まれ、ぐるんと視界が反転した。背中がベッドのスプリングの上に押し付けられ、ボフッと軽く弾む。
驚いた私を、青年が真剣な表情で見下ろしていた。



