愛しのキャットボーイ〜野良猫少年拾いました〜




 運転席のドアが開き、こちらを不審がりながらも降りてきた女性を見て私は息が止まる。目元や口元がユキに似ている。



「あの、どちら様でしょうか……?」
「……いえ、あの……もしかしてユキくんのお母さんですか?」
「……はい」
「初めまして……ユキくんと同居させていただいている田場川春香と申します。ご挨拶しにくるのが遅くなり申し訳ありません」



 この状況になったら、もう挨拶するしかない。本当はもっとちゃんとした場所と状況で挨拶したかったのに……!


 ユキのお母さんは、私の言葉を聞き目を丸くした。


 一方私は、まさかユキのいないこのタイミングで出くわしてしまうとは微塵も思っていなかったから、寒いのに冷や汗が止まらない。