「……ユキ、あなたの家お金持ちなの?」
「ううん、そんなことないよ」
「そう」
「じゃあ、春香はここにいてね。すぐに戻ってくるから」
「あっ」
ユキはそう言うと、さっさと門を開けて家の中に入って行ってしまった。
確かに家には人の気配はなく、どの部屋もあかりはついていない。
「……はぁ」
しかし寒い。
厚着をしていても芯まで冷える寒さだ。手袋をした手を擦り合わせ、門を背にしゃがみ込む。
「……ユキはこんな中、毎日寝床を探していたのよね」
こんなに寒いと、寂しさまで増幅する様な気がする。……早く出てこないかな。
下を向いて膝に顔を埋めていると、突然眩しい光で照らされる。
驚いて顔を上げれば、すぐそこに車が停まっていた。



