愛しのキャットボーイ〜野良猫少年拾いました〜




「(誰かに、許されたかったんだ)」
「春香?」
「……ユキ、ありがとう。私もう進むことにする」



 してしまったことは消えない。
 たとえ自分を偽って得ようとした物がなくなってしまっても、それは元から幻だったのかもしれない。



 こんな風に思える時がくると思っていなかった。
 停滞し続けて、進むことなんて考えても見なかったから。


 ユキを見上げ、恥ずかしいくらいの満面の笑みを向ける。
 するとユキは目を見開いた後、何かを呟いた。



「なっ……」



 そして次の瞬間、私の額に柔らかな銀髪が触れる。それと同時に私の唇に熱が灯った。



「ん?」
「あ、ごめん」



 ゆっくりとした動作で、動揺もせずに私から離れるユキ。待って、待て待て待て。今……。