「正義感の強い春香があの寒い夜に拾ってくれなかったら、僕は今も一人ぽっちだったよ」
「……」
「僕は春香に救われた。だから、僕は春香が好き」
「……理由が単純過ぎるわよ」
「でも、誰かに自分の存在を認めて欲しくて、ここにいてもいいんだよって言って欲しくて……他人の望む誰かになろうとしちゃうの、少し分かるな」
「結果、失敗したけどね」
「失敗したとしてもそれは、春香は春香でいいんだよって、神様が言ってくれてたのかもしれないよ?」
「か、神様って……」
神様を持ち出されるなんて思ってもみなかったから、驚いて涙が引っ込んでしまった。
やっと涙の止まった私の肩を掴み少し距離をとったユキは、エメラルドグリーンの瞳でしっかりと私の目を見つめる。
「春香は確かに正義感は強いけど、そのほかにお節介で、意地っ張りで、優しくて、きっぱりしてるところも僕は知ってるよ」
「……よく見てるのね。お節介で意地っ張りって、褒めてるつもり?」
「もちろん褒めてるよ」
「……そう」
「今まであったこと、不登校になってしまった女の子も元カレさんも、春香と噛み合わなかっただけ。たまたまそれが続いただけ。だから、春香はダメじゃないよ」
「噛み合わなかった……?」
タイミング? たまたま? そんな言葉、今まで思い浮かばなかった。
ただただ、自分を責めて日々を送ってきたのに……。本当にそんな言葉で片付けていいの?



