湯船にお湯張ってるって……?!
一緒に入ろうとか言いださないよねまさか……。
一人パニックになっていると、青年は呆れていた。
「それなら僕、湯船浸からないから、先にシャワー浴びてもいいかな?」
「どうぞっ!御構いなく!」
慣れた様子で脱衣所に引っ込む青年を見送り、やっと肩の力が抜ける。なんで、青年の提案に乗ってしまったんだろう。
歩いて帰った方がまだマシだったんじゃないの?
例え生死に関わる危機的状況でも、成人した男女が一夜を共にして、何もないはずがない。冷静になって考えれば分かったハズなのに……。
で……でも、私みたいなどこにでもいる普通の女が、あんなイケメンに声を掛けられるなんて何かの間違いよ。
きっと、私を不憫に思って声を掛けてくれただけで、本当に添い寝するだけ。



