「それじゃあ、早速文化祭の準備分担を決めていきますっ!」
委員長の朝凪(あさな)さんが元気に言った。
「ポスターで宣伝したいのでやってくれる人〜!」
はーい、はーい、と手を挙げていくクラスメイトたち。
はああぁぁ。ため息が出るほど退屈な行事。
思い出を作るだとか残すだとか本当にくだらないって思う。
だって将来有望となるネタじゃないでしょ?
大学受験で必要?
仕事に必要?
そう思ってしまうと止まらない。
「じゃ!余ってる人で内装お願いします!」
委員長の大きな声が聞こえて、
私の思考は止まった。
いつのまにか話は終わったみたいで、
クラスメイトは自分の分担をしようと動いていた。
「瀬乃〜〜!内装の準備だって〜〜‼︎
なににしよっかー!」
突然耳をつんざくような大きな声が聞こえた。黄崎だ。
どうやら内装は私と黄崎の役割分担らしい。
「えぇーー!きさきぃ、内装なのー?ショック〜!」
志磨(しま)さんの高い声がわたしの居場所をなくしていく。
...もともと居場所なんてないけれど。
「きさきぃ〜今日放課後さぁ、あそぼーよぉ!」
「いいけど?俺暇だしー!」
テンション高い奴らはみんなこんな喋り方らしい。
しばらくすると志磨さんとの会話は終わったようで、黄崎は私に話しかけて
きた。
「ごめんな〜、内装どうする?2人だけだし、そんな時間ないし〜...
よし!瀬乃!材料買いに行こ!」
内装なにも考えてないのに⁉︎
いきなり買いに行くの?
てか志磨さんとの約束は?
…黄崎ってちょっと変わってる。