「日南すげぇキレてる。あんた、日南の女?」


電話を切った金髪の男は、ケラケラ笑いながら私と目を合わせてきた。


「ち、違います……」

「じゃなんであいつキレてんだ?まぁどうでもいいや……つうことで、深見たちが来るまで大人しくここで待っててね」


スマホを返されて。
逃げなきゃいけないのに、足が言うことを聞かない。

……何をされるかわからない。怖い。


でも、この人は「深見先輩を呼べ」と言っていた。

用があるのは深見先輩?


……日南先輩が来てくれるまで待っていた方がいいのかな。

もし逃げて追いかけられて、家を突き止められたら嫌だ。



恐怖と不安で蝕まれていく──そんな私の耳に。


「おいコラァ!その子から離れろ!」


怒号が貫いた。

────日南先輩!


あれから2、3分くらい。
荒く息をする日南先輩が現れた。