こっそり店内の様子を覗くと、彼女たちに絡まれてうんざりしている青柳先輩が目に入った。
「……なんでここ知ってるの?」
「噂で聞いたのー」
「昨日も来たんだけど、いなくて……」
「今日は会えて良かったー」
営業スマイルの欠片もない青柳先輩。
チッと舌打ちが聞こえてきそうなその表情は、私が彼に抱いていた第一印象そのもの。
「……そんなにあおやんのこと気になる?」
上から降ってきた声。
同じように覗く日南先輩がいた。なぜか不服そう。
青柳先輩を気にしちゃいけないのかな……?
「なんか嫌そうにしてるなって思って……。モテるの嫌なんですかね?」
……私にはわからない感情。
モテモテになりたいわけじゃないけど、でも、嫌われるより好かれた方がいいに決まってる。
ああやってあからさまに好意を寄せてくれるのは、喜ばしいことだと思うんだけど……。
どう見ても今の青柳先輩は、それと正反対の感情の中にある。



